更年期障害とは
閉経を迎える年齢は、50～51歳といわれており、一般的には閉経をはさんだ、45歳～55歳の約10年間を「更年期」と呼びます。
「更年期障害」とは、更年期の時期に神経の調節不良や心身の不調が起こる障害を言います。
更年期障害の主な症状
一番良く聞く症状としては、
・体のほてり（ホットフラッシュ）
・大量の汗（スウェッティング）
の２つになると思います。
その他にも動悸、息切れ、頭痛、めまい、うつ症状などその方によって症状は変わってきます。
また、最近多くなっているのは、若年性更年期障害（プレ更年期）になります。
更年期障害の原因
原因としては大きく分けると「ホルモンバランスの乱れ」と「精神的ストレス」の二つに分かれます。
「ホルモンバランスの乱れ」は、更年期を迎える時期になると、卵巣の機能が衰え、その結果、卵巣から分泌されている女性ホルモン（エストロゲン）の量が減少する事で起こります。
女性ホルモン（エストロゲン）の量が減少する為、女性ホルモン（エストロゲン）と卵胞刺激ホルモン(FSH)のバランスが崩れる事で、自律神経の調整がうまくいかずに体のほてり（ホットフラッシュ）や大量の汗（スウェッティング）などの症状がおこると言われています。
もう一つの原因となる「精神的ストレス」ですが、年齢的に子供の独立・夫の定年・親の介護など急激に生活のリズムが変わる時期になります。
生活のリズムの変化により今まで感じなかった「精神的ストレス」に家庭や職場での他のストレスなどが加わる事で更年期症状が悪化すると言われています。
更年期障害の漢方薬
症状によって漢方薬の種類は変わってきます。
一番の症状としては、「体のほてり（ホットフラッシュ）」や「大量の汗（スウェッティング）」になってきます。
「体のほてり（ホットフラッシュ）」に関しては、「加味逍遙散」という漢方薬が使われることが多いです。
「加味逍遙散」は、「逍遙熱」と言われる急に熱くなったり寒くなったりする症状に使われ事が多い漢方薬です。
「体のほてり（ホットフラッシュ）」は、「逍遙熱」によく似ていて急に熱くなったりする事が多いです。
「大量の汗（スウェッティング）」に関しては、「柴胡桂枝乾姜湯」という漢方薬を使う事が多いです。
「柴胡桂枝乾姜湯」は、体内の水分をコントロールする役目のある生薬が多く含まれている漢方薬です。
また、「呉茱萸」や「茯苓」といった生薬を加える事で心臓疾患にも使える事から動悸などの症状にも使えます。
他にも、ホルモンバランスを整える作用のある「四物湯」をベースとした「連珠飲」などを使う事もあります。
更年期症状の漢方薬を飲む時は自分にあった漢方薬を服用する事が大事になってきます。
更年期障害の症例
症例①（昭和43年生 女性）
最近発汗が多く気になるとの事でこちらに相談に来られました。
症状としては、冷えのぼせやホットフラッシュ・かき始めると止まらない汗などになります。
汗は全身にかくが、特に頭汗が酷いとおっしゃっていました。
漢方の種類としては、更年期症状に対する漢方薬(自律神経を整える漢方薬)を1種類出させて頂きました。
漢方治療開始から1ヶ月、全くかかないという事はないが、汗が治まってきているとの事。
漢方治療開始から2ヶ月、ほとんど汗が気にならない状態まで少なくなったとの事。
漢方治療開始から4ヶ月、汗で気になるのは寝汗のみとの事。
かき始めると止まらない汗や冷えのぼせはないとおっしゃって頂けました。
漢方治療開始から7ヶ月、中々改善が見られなかった寝汗も完全に止まったそうです。
引き続き汗や冷えのぼせはないとの事。
発汗が気になりご相談に来られた患者さんになりますが、しつこかった寝汗も改善が見られました。
冷えのぼせやホットフラッシュもないとの事で順調に改善が見られた患者さんになります。
症例②（昭和31年生 女性）
最近「更年期様症状」が気になるとの事でご相談を受けました。
症状としては、「ホットフラッシュ(カーッと暑くなったり寒くなったりする)」、「手足の冷え」、「動悸」などの症状が気になるとの事。
漢方の種類としては、更年期症状に対する漢方薬(自律神経を整える漢方薬)を1種類出させて頂きました。
漢方服用開始から1ヶ月、「ホットフラッシュ」が少し良くなっている気がするとの事。
漢方服用開始から2ヶ月、「ホットフラッシュ」、動悸ともにほとんどなくなったとの事。
早期での改善でビックリしたとおっしゃっていました。
漢方服用開始から4ヶ月、症状がほとんどなくなった為、ご本人の希望により治療終了。
本来であればもう少し服用を続けて頂きたかったのですが、ご本人のご希望によりここで治療終了となりました。
調子が良いので引き続き今の調子で過ごせると何よりですね。